ーー その頃。







雪美が逃げた後の牢獄内では、おすずの笑い声が響き渡っていた。



「あの外道逃がして自分が来たの?バカな男だねえ〜」



おすずは無表情の蓮稀の服を脱がし、跨り勃たない性器を無理矢理自分の中に挿入しようとする。



「なんでー?いらないねこんな役立たず」



自分の思い通りにいかないと気に食わないおすずは、懐から小刀を取り出し、性器を勃たせようと蓮稀の左の骨盤辺りを思いきり突き刺した。







刺された場所から真っ赤な血が溢れ出す。



「……。」



死を覚悟したかの様に感情を捨てた蓮稀は顔色一つ変えず… 蓮稀の態度が気に食わないおすずは " 何故勃たない!? " と、今度は蓮稀の首に小刀を突き刺す。



「なんだい、なんだい… なんで反応しないんだい!役立たず、これじゃあ入らないじゃないか!早く勃たせな!!!」



イライラを募らせたおすずは、続けて蓮稀の右脇腹、そして左の二の腕に思いきり小刀を突き刺した。



「……。」



痛みが無い訳じゃない。



刺される度、襲われる想像を絶する激痛は、蓮稀の思考回路は勿論、意識さえも朦朧とさせる。



鈴香を奪われ、雪美を逃し、覚悟を決めた。このまま死ねるなら… 鈴香の元に逝けるなら…



" 俺は鈴香を守れなかった "



今更後悔しても遅いけど…



鈴香を失う恐怖、咲夜まで巻き込んでしまう不安から俺は… ただただすずの言いなりになるだけで、何の行動も起こせなかった。



俺だけが我慢し、耐えていれば… みんな幸せで穏やかに居られると思ってた。



鈴香を、無理矢理にでもここから連れ出していれば… 彼女は死なずに済んだかも知れない。