「… 返して、嘘つき!!あんな風におすずさんを抱いていたのね… 嫌い、嘘つき!!!」



雪美は泣きながら完全に取り乱し、貰った桜のかんざしを髪から抜き、咲夜の腕に思いっきり突き刺す。



「ゆきの気が済むなら俺のこと殺していいよ、お前を愛してるのに裏切ったのは俺だから… 「情なんか要らない!!!」



感情任せに取り乱し続ける雪美に微笑んだ咲夜は、刺された状態のまま抱き締める。



「情じゃない、ゆきだけは失いたくない… ただ、生きて欲しいんだ… 」



俺はゆきを守る為なら何だってする。命さえも惜しくない… けど、雪美の取り乱し方を見て、この突き放し方は絶対に駄目だと今気付いた。



… ごめんな。ゆき、俺はお前を心底愛している。




「ゆき、ごめん…」



大好きで大好きで仕方がない、ゆきが居ないと生きていけないほどに… 雪美のことが好きだ。



俺の願いはただ1つ、今も未来も来世も変わらない。ゆきと二人で邪魔される事なく穏やかに過ごしたい。



" ゆきだけは失いたくない "



咲夜のこの言葉を聞いて黙り込み、我に返った雪美は… 鈴香の事を思い出していた。