咲夜がおすずさんと… どうして、さくは私のこと愛していたんじゃなかったの?







目に焼き付いて離れない、2人の愛し合っていた光景を思い出し路地裏で嘔吐する雪美。



" ゆき… "



嘔吐する雪美の姿を見つけた咲夜は今すぐにでも駆けつけたい気持ちを一度抑えて深呼吸し、ある覚悟を決めてからゆっくり近付く。



「咲夜、なんで… 」



睨み付ける雪美に対して咲夜は事情を言わずに " あーあ、もういいや、お前みたいなガキ好きじゃなくなったんだよ " と、嘘をつく。



これで良いんだ、これで。
ゆきの命を守れるのなら他に何もいらない…



俺が側にいるとゆきを傷付ける、それならいっそのことズタズタに傷付けて、嫌われてしまえば…



「本気で言ってるの… それなら… 咲夜は死んで」



「……。」



「約束でしょ? 一緒にいるって。離れる時は俺が死ぬ時だって言ったじゃない… 」



咲夜を前に大量の涙を流す雪美は、気が狂った様に突然くすくす笑い始める。



「ゆき、何言って…「浮気された挙句、別れましょう?…いい加減にして!!!」



雪美は帯に隠していた小刀を取り出して振りかざし咲夜の肩を容赦なく斬りつける。



「ゆ、ゆき… 」



咲夜は痛みに顔を歪ませながらも、何も言わずに雪美を愛しそうに見つめ名前を呼ぶ。



ごめんな、ゆき… 本当にごめん…



心の中で何度も何度も謝り続ける咲夜は、雪美から小力を取り上げ、自分の懐に隠す。