ーー 更に月日が流れ。



父上と大喧嘩をした雪美は家を飛び出し今日も政条家の蔵にこっそり忍び込んでいた。







" 父上なんて嫌い、分からず屋!"



誰も居ない、私だけの静かな空間は落ち着く… 暫くすると " ゆーき " と、名前を呼び咲夜が顔を出した。



「なんでここに居る事知ってるの!」



「ゆきの家に行ったら喧嘩して飛び出したって聞いたから… ゆき、嫌な事があったらいつもここだし」



「だ、だって… 父上が私の大切な髪飾りを壊して謝ってもくれないのよ!?」



「うんうん」



「その髪飾りはお祖母様から貰った大切な髪飾りだったの… もう手に入らないのに… 」



よほど大切な髪飾りだったんだろう、肩を落とし落ち込む雪美は今にも泣き出しそうな表情を浮かべている。



そんな雪美の表情を見た咲夜は " 形ある物はいつか壊れる… 待っておけ " と言い、雪美を残して蔵から出て行った。



「…なによ」



いつか壊れる… 分かってる、そんなこと。壊れてしまうから、壊れないように大切にしてたんじゃない。



「さくのばか…」



雪美は蔵を飛び出した咲夜を待ちながらいつの間にか寝てしまい夕方になっていた。



「あれ、私… 」



目を覚ますと咲夜がいつの間にか戻って来ていて… 私の肩にもたれ掛かり同じように眠っていた。



「さく!」



雪美に呼ばれ、咲夜は眠たそうに目を開ける。