「あいつら何？友達じゃねーよな」

　早々に外靴に履き替えた篠井くんは、モタモタする私を冷ややかに見下ろしてる。

「えっと……クラスメイト……」

「んなことはわかってんだよ。あいつら軽音部だろ。勧誘でもされてたのかよ」

「……」

　私は首を横に振った。

「じゃあなんだよ」

　篠井くんの目力を前に、嘘をつく勇気はない。
　私はなるべく悲しい空気にならないように下がろうとする口角をなんとか上げる。

「昨日、軽音部のオーディション受けたんだけど、うまく歌えなくて……それが噂になってたみたいで、からかわれちゃったの。ほら、私の声って変だから……」

　すると篠井くんは、眉間にぎゅう、と皺を寄せた。

「は？気持ち悪」