「つーぎーぬーまーおーとーはー。いるなら返事しろー」

 ヘッドフォンの彼、もとい篠井くんが再び私を呼んで、クラスメイト達が一斉に私を見た。
 みんなの視線を辿った篠井くんも、こちらを見る。

「あ。いた」

 あ。見つかった。

 大騒ぎの皆をよそに、篠井くんは私をまっすぐに捉えて歩いてくる。

「まじかよ……」

 山岸くんが小さく呟いて後ずさった。

「え? なに、あのかっこいい子。 有名人?」

 後ろでヒソヒソと話す女の子の声が聞こえた。

「知らないの? 一組の篠井(しのい)奏太(そうた)くんだよ!」

「えっ、篠井奏太って……SOOT(ソート)の!?」

 SOOT……!?
 私は驚きのあまり声が出そうになる。