「そんなカスカスの声で歌なんか歌えんの? 歌ってみてよ」

 からかい口調の山岸くんに、私は口を真一文字に結んで首を横に振る。

「先輩たちが最高だったって言ってたんだけど。 俺たちにも聞かせてよー」

 当たり前に悪い意味での最高だって、分かる。

「……でき、できません……」

「え!?なんだってー!?」

 山岸くんは耳後ろに手をあてて、大袈裟に聞こえないふりをする。

「ぎゃはは!声ちっちゃ!」

「てかやば、マジ声死んでんじゃん!」

 なにがそんなに面白いのか、山岸くんたちはお腹を抱えて笑い続けている。