「頑張れ!」



誰かの声が、グラウンドに響いた。



「頑張れ!諦めずに偉いぞ!頑張れ!」



すると、失笑していたみんなも、次々と応援の言葉をくれるようになった。



結局ビリでゴールしたけれど、ゴールの前で待っていたのは、キレイな顔をした男子だった。

笑顔で、
「偉い!」
と言ってくれたその声が、「頑張れ!」と励ましてくれたあの声だと、私にはわかった。

後から知ったけれど、その男子こそが、大友くんだった。



はじめは感謝の気持ちだった。

姿を見つけたら、目で追うようになった。

気づいたら、好きになっている自分を見つけた。

二年になって同じクラスになれて、嬉しくてたまらなかった。




大友くんの「頑張れ」は、魔法の言葉。

どこにでもある、ありふれた応援の言葉だけど。

大友くんが言う「頑張れ」は。

魔法をかけたみたいに、キラキラ輝いて。

私の心を明るく照らしてくれるから。