追われていた。
しかもいつものパターンじゃない。
隠れながらついてくる感じ。
最初気付いたのは信号待ち時。
前を通る車のサイドミラー越しに目指し帽を被った
マスク男がじっとこちらを見つめていたから。
それだけじゃなく、信号が青になって距離が離れてもついてくる。
目は吊り目で眉は切れていた。
わたしは先日聞いた金成の事件の犯人かと思い心まで身震いした。
こいつに捕まっちゃ終わりだぞ…と。鼓舞するように思った。いち、声をかけられてない。
に、ナンパみたいなかんじじゃない。
命を狙うような感じ。
火車に追いかけられているドク、ドク、と太鼓打つ心臓のようだった。
逃げている最中。