「あっもうチャイムなる。ばいばい」


「ばいばい」


 広瀬さんが立ち去るのを見送って、私は授業の準備をする。


 さっきまでのうるささとは無縁の、静かな環境。もうすぐ授業だからか、他の人に話しかけられることはない。


 この教室にはおとなしい人が多いのか、話し声があまりない。女子の中には私が理想としている『目立たず、おとなしく、真面目な優等生』の子もいる。


 どうして私達は他のクラスメイト達と違って、広瀬さんに話しかけられたのか? それは私の髪が明るめのローズブラウンだからに違いない。明るい茶色に赤っぽさもある髪、それはどうしても派手な子を集めてしまうことを私は知っている。


 それでも私はこの髪の色をほめてもらってうれしかった。髪の色を批判ばかりされるから、余計そう思うかもしれない。もちろんそんなこと広瀬さんには言えないけど。