「せっかくだしメイクもしようよ、メイク」


「メイクは大人がするもんじゃない?」


 少なくとも『目立たず、おとなしく、真面目な優等生』はメイクをしない。母も日焼け止めはともかく、メイクは子供がしてはいけないといつも言っている。


「えーちょっとくらいなら大丈夫だよ。そりゃあファンデーションをしっかり塗ったりコンシーラーを使ったりしないよ。今日はこの化粧下地になる日焼け止めとつけたまま寝ても大丈夫っていう話のルースパウダー、それからこの淡いピンクのリップをつけるだけ。これでうーんとお洒落になるよ」


「まあそれくらいならいいかな」