「郁奈ちゃんはどうする?同じ方向だし家まで送ってくよ?」


「ほんとですか?ありがとうございます、大翔先輩!」


今までだって先輩と郁奈が一緒に帰ってたことはあった。


でも、今日だけはなんか嫌だよ…。


「じゃ、お邪魔しました」


行かないで、なんて言えるわけもなく笑顔を作って3人を見送る。


ドアが閉まると同時に、私はその場にしゃがみ込んだ。


一緒に過ごせるだけで幸せだと思った。


なのに、今年の誕生日はなんでこんなに最悪なんだろう。


苦しいよ…。


喉の奥が熱く、渇く。


零れ落ちる涙はゆっくりとスカートにしみ込んでいく。


ガチャッと音を立ててドアが開いた。


顔を上げて、ゆっくりと瞼を開く。


「な…先輩…?」


そこにいたのは、帰ったはずの永峰先輩だった。


「なんで、先輩が…?」


「もしかしてと思ってね。予想通りだったか」


先輩は息を吐いて私の隣に腰掛けた。


「そんなになるまで我慢しないで、大翔に告ればいいのに」


「そんな勇気ないです…怖いもん」