花子はそんなオルゴールについたほこりを指先で丁寧に拭き取り、ネジを巻いてメロディに耳を傾け始めた。
目を閉じてジッと聞き入っている様子を見ると、なんとなく自分がオルゴールをないがしろにしてきたことが悪いことみたいに感じられてきてしまう。

そして何度か聞き終えたとき、花子は満足したように立ち上がった。
「ありがとう。また聞かせてくれる?」

「もちろん! ……あ、よかったらそのオルゴールあげようか?」
「え、いいの!?」

「私はあまり使ってなかったし、ホコリもかぶってたでしょう? それなら花子ちゃんが持っていてくれた方が、そのオルゴールも嬉しいと思う」

「わぁ! ありがとうお姉ちゃん!」
花子は喜んで絵美に抱きついた。

古いオルゴールひとつでこんなに喜んでもらええるなんて、本当にいい子だなぁ。
絵美は花子の頭をなでながらそう思っていたのだった。