「じゃあ、当日は十二時に駅前で」

「はい」


 幸せなクリスマス会議も終わってしまい、改札で別れを告げる。お互い反対の路線のホームへと向かった。

 エスカレーターを下っていると、スマホがブブっと振動した。

 確認すると、メッセージアプリの通知だった。そこには、冬月雪弥、と表示されている。

 早くメッセージを確認したい気持ちはあれど、歩きスマホはいけないので、エスカレーターを降り、適当な乗車口に立ってから、メッセージを開いた。


『白雪さん、今日はありがとう』

『白雪さんのことだから、待ち合わせに早く来そうだな、と思って。先に言っておく』

『早く来過ぎないように。俺もなるべく早く行くけど、早く着いたら、どこか暖かいところで待っているように』


 見透かされていてびっくりした。冬月くんを絶対に待たせることのないよう、三十分以上は早めに来ようと思っていた。

 週一回の、図書当番の日だけの付き合いだけれど、冬月くんは、私のことを知ってくれているのだなぁ、と少し嬉しくなった。

 じーんと感動している場合ではない。早く返信しなくては。


『こちらこそ本日はお時間をいただき、誠にありがとうございました。』

『承知いたしました。当日は暖かくしてお待ちしております。』


 ちょっと硬すぎたかな…と思いつつも、スマホをポケットに戻して顔を上げる。

 すると線路を挟んで向かいのホーム、目の前に冬月くんがいて、私は心底驚いた。

 彼は笑いながら、私に手を振った。

 私も少々恥ずかしくも、冬月くんに手を振り返した。

 文章打ってる時、私、変な顔してなかったよね…?


 楽しみすぎるクリスマスが、あと五日に迫っていた。