それは、何年か前の記憶。


『ねえねえお姉ちゃん、これあげる!』


懐かしい声、鮮明に思い出される贈り物。


『うわー!ありがとう、すっごく可愛い!ミサンガ?』

『そうだよ!あたしが作ったの』

『そうなの⁉︎絶対大事にするーっ』


でもそれは、いつの間にか私の足から消えていた。

切れたのか、無くしたのか、それとも。


『好きだ、果音。こっちにおいで』


こうなるはずじゃなかったのに。


『素敵なミサンガありがとう!―――(かなで)


大事にするって、言ったのに。