「ええ、それを全て抹消するのは、恐らく難しいことでしょうね……ただ、私の方で透明な毒を検知する方法を開発しました。その存在を公表すれば、毒を使った犯罪も抑止できるでしょう」
「その毒の被害者の娘として、お礼を言っておくわ。ありがとう」

 透明な毒は、今まで様々な人の人生を狂わせてきたものだ。その被害は、できればこれ以上起きて欲しくない。
 故に女店主の言葉は、とても嬉しかった。私やラナーシャのようにあの毒に苦しむ人が、もう二度と出なければいいのだが。

「さて、私も行かなければなりません。今までの罪を償うために……」
「情状酌量の余地はあるだろう」
「そうですね。でも、今まで色々な薬を販売してきましたから……それによって、何が起こるかなんて、大体予想がつくのに」
「それでもあなたは立派だったと思いますよ」
「……ありがとうございます。二人とも、どうかお元気で」

 女店主はそう言って行ってしまった。
 きっと彼女にも、色々と事情があったのだろう。それはよくわかった。
 ただ、それらを乗り越えて立ち直って欲しい。そして今度は、その力で多くの人達を助けて欲しい。私は、そんなことを思うのだった。