私とマグナスは、再びラグナメルの町まで来ていた。
 今回ここに来たのは、とある結末を見るためだ。この町で起こっていることの主導者として、私達はそれを見届けなければならないのだ。

「……まずは、お二人にお礼を言わなければなりませんね」
「礼はいらんさ。あなたには、色々と協力してもらったからな。それに元々、こんなものを放っておく気はなかった」
「ふふ、やはりお二人は正義感が強い方々だったんですね?」

 私達の前で、闇市の薬屋の女店主は笑みを浮かべていた。
 闇市の摘発、それは彼女から透明な毒に関する情報を教えてもらうかわりに提示された条件である。

「しかし最初に提案された時は驚いたものだ。まさか、あなたからそんなことを言われるとは思っていなかったからな……」
「まあ、私も参加者でしたからね。でも、私は嫌になったんです。この闇市は、あまりにも人間のおぞましい部分が現れていますから」

 女店主は、周囲を見渡しながらそんなことを呟いた。
 確かに、ここで販売されているものの数々は目をそらしたくなるようなものばかりだ。先代から店を受け継いだらしい彼女は、その異様さに耐えらなかったのだろう。

「そうだ。言われていた通り、透明な毒は始末しておいた。もっとも、まだどこかにあれを持っている者はいるのかもしれないが……」