「でもそれは、マグナス様やハワード様も変わらないんじゃないですか? お二人だって、条件は同じだ」
「ええ、だからこれは我慢勝負になるわね。二人なら大丈夫だとは思っているのだけれど、実際の所これは難しい問題ね」

 マグナスとハワード様が、先に折れてしまうという可能性もある。
 ただ二人は、お互いに事情を知っているという強みもある。故にどちらかというと、こちらに勝機があるのではないだろうか。

「それにそもそも、夫人が図太かったり鈍感だったりしたら、この策は通用しないわね……」
「……色々と穴も多そうですね?」
「失礼ね。これでも結構成功する方法だと思っているのよ? 後、別にこれが失敗したら次の策を考えればいいだけだし」
「まあ、確かに実質的には何もしていない訳ですもんね……」
「ええ、とりあえずやってみることができるから私も提案したのよ」

 この作戦の肝の部分は、難しい準備などが必要ないということだ。
 やってみるだけやってみて、駄目だったら切り替えればいい。その手軽さが売りである。
 とにかく重要なのは、夫人を最終的に落とすことだ。そのためにできることをやっていく。今回の戦いは、きっとそういうものだろう。