「そんな方法で、本当に上手くいくんですか?」

 いつもの屋敷に戻った私は、事情を色々と知ったランパーからそのような言葉をかけられた。
 隣にいるラナーシャも、不安そうな顔をしている。やはり私の作戦は、他の人からみると違和感があるのだろうか。

「上手くいくと、私は思っているわ。少なくとも私には耐えられないもの」
「そういうものなんですか?」
「ええ、カルロム伯爵家に戻ってから、私はずっと冷や冷やしていたもの。透明な毒という存在を知って、相手が殺意を持っているかもしれないと思っていると、ずっと気を張っておかなければならないの」

 お父様と対峙する前から、私は実家でかなり注意を払うことになった。
 例えば自分が触ったものに毒がついていて、それが口に触れてしまったら。そんな考えがずっと頭の隅にあって、かなり気を張っていたのだ。
 それが長い間続いたらどうなるか、それは想像もしたくないことである。

「私が来たという事実もあるし、夫人はまずマグナスが透明な毒を持ち帰っているかもしれないという疑念にかられると思うわ。それから恐らく、毒が仕込まれているかもしれないという疑念にかられるでしょう。その疑念がずっと続いていくというのは、夫人にとってもきついはず……」