「言っておくが、余計なことを考えるなよ。私はこれでも、お前のことは尊重しているつもりだ。お前が余計なことをしなければ、こちらもそっとしておく。それでいいだろう」
「……」

 席に戻ってきたお父様は、紅茶を手にしている私を見て自分の手元にある紅茶を手に取った。
 彼は特に躊躇することなく、それに口をつける。その後、紅茶を置いてから私の方にそっと目を向けてきた。

「………………おごっ」

 次の瞬間、お父様はゆっくりと床に倒れ込んだ。
 それを見て、私は理解する。やはり私に出した紅茶の中には、毒が仕込まれていたのだということを。
 その事実に、私は思わず笑ってしまった。本当にお父様が、どうしようもない程の屑だということがよくわかったからだ。

「ア、アラティア。お前、何をっ……」
「お父様、今私は心から安心しています。あなたが私に対して、娘としての情を持っていなくて本当によかったとそう思っているんです」
「なっ……何?」
「もしもあなたが、ほんの少しでも情を持っていたら、私は復讐に対して罪悪感を覚えていたかもしれません。でも、今はとても晴れやかな気分です。娘を手にかけることも厭わない非道なるお父様、やはりあなたがお母様を殺したのですね?」