「お二人とも、こちらにどうぞ」
「む……」
「進めばわかります。私からは、下へと進めばいいとだけお伝えしておきます」
「……わかった。いくぞ?」
「ええ……」

 店主は、店の奥へと進むように言ってきた。
 その指示に従って、私達は奥へ奥へと進んでいく。すると言っていた通り、下へと階段が見えてきた。
 私とマグナス様は顔を合わせた後頷いて、そのまま階段を下っていく。

「……この店の地下に、何かがあるということかしら?」
「そのようだな……しかし長い階段だ。一体どこまで下るのだ?」

 階段は長かった。かなり下まで続いているようだ。
 とにかく私達は、階段を下っていった。そしてその内、私達は底へとたどり着いた。

「こ、ここは……」
「闇市……」

 目に入ってきたのは、活気にあふれる市場だった。
 地下深くに存在しているとは思えないその場所では、様々な取り引きが行われている。だがその内容は、見てわかるだけでもおぞましいものだ。ここが普通の場所ではないことを表している。

「目的のものを探すとしよう」
「え、ええ……」
「俺の傍から離れるな。ここは危険場所だ」
「そうね。そうさせてもらうわ」

 私は、マグナス様の腕に抱き着いた。
 正直言って、目の前で行われている取り引きに、気が滅入ってしまっている。だが立ち止まる訳にもいかないため、ここはマグナス様に頼らせてもらうことにする。