レン先輩は私の肩に手を置いて言い返す。
それだけでなんだか勇気が出てきて、仁科さん相手でも勝とう、と思えた。
赤史のとなりで眉を下げている仁科さんを見て、その意思をさらに固める。
「…負けない」
「その意気だよ、二葉ちゃん。じゃあ、俺はメイクしてくれる子呼んでくるね」
「あ、はい!」
声をかけられて、レン先輩を見る。
よく笑う人だけど、にっこりと笑う顔が頼もしくて、かっこよくて、きゅんとしてしまった。
この1週間、やってきた準備は勢力戦対策だけじゃなくて。
紫くんがお姉さんのドレスを貸してくれたり、レン先輩が3年生のオシャレな女子に声をかけて、メイクをするように頼んでくれたり。
今日のための特別なマスクを用意したりと、ミスコン対策も万全にしてきた。