昨日のように、赤史に肩を抱かれた仁科さんの目元は、ほんのり赤くなっている。

あんなになるほど、泣いたの?

でも、昨日は…。




「なんで…」


「桃はずっと天然を“変だ”って言われて、否定されてきた辛い過去があるんだ。それをおまえは、心ないやつとおなじように否定して…」


「赤史くん…ありがとう」


「いいんだ、桃。昨日の昼みたいに、これからも俺の前では泣いていい」




赤史は仁科さんを見つめて、やさしく笑う。

あんな顔、できるなんて知らなかった。


…赤史の言ってることを整理すると、昨日、別れたあと、仁科さんは泣いたってこと?

私が強く言っちゃったせいで…。




「…仁科さん、ごめ…」


「おい、こいつを追い出せ」


「はい!」