私は教室に入ると、そう言ってにっこり笑った。

でも、みんなは私を見ると目をそらして「でさぁ」なんてはなしを続ける。


…なんで…?




「今日、放課後集会やるか」


「集会…?あ、体育館に集まるやつ?いつもみんなでなにしてるんだろうって思ってたんだ」




うしろから聞こえた声は、赤史と仁科さんのもの。

私はふり返って、「赤史!」とその姿を目にするまえに名前を呼んでいた。


赤史は仁科さんから私に目を向けると、無表情で手を伸ばす。

どんっ、と。

気づいたら肩を押されて、床に尻もちをついていた。




「っつ…?」


「二度と俺の視界に入るなって言ったよな?姫である桃を泣かせて」


「!」




…冗談でしょ?

だって、姫は私で…。