Comet(コメット)の姫だから、いままでも見られることはあったけど、今日はそれとはちがうような…。

私はスクールバッグのひもを握りしめて、足早に下駄箱へ向かった。




「…仁科さんを泣かせたんだって…」


「…俺、殴ったって聞いたぞ…?」


「…ひどい、調子乗ってたんじゃない…?」




うわばきを取り出してくつをはき替えていると、とぎれとぎれにうわさばなしが聞こえてくる。


…気のせいだよ。

そんなはなしをしながら、みんなが見ているのは私だなんて…。


でも、心臓がばくばくしてる。

私は焦りや不安を置いていくように、早足で教室へ向かった。



誰もおはようって声をかけてこない。

…ううん、たまたま。

教室に行ったら、あいさつしてくれる。




「お、おはよう」