「あ、赤史くん、そういう言い方をしたら、二葉さんが傷ついちゃうよ…っ」
「いいんだよ、これくらいきつく言わないとわかんないんだ。行こうぜ、桃」
「で、でも…二葉さん…」
仁科さんの肩を押して、赤史が歩いて行く。
眉を下げて、私を心配そうに見つめる仁科さんの視線も、やがて他の生徒の体でさえぎられた。
「二葉ちゃん…っ!」
「…あ、紫くん…」
よこの教室から紫色の髪をした紫くんが駆け寄ってくる。
…そっか、周りにも聞こえちゃってたかな。
どうやって事態を収めよう…こんなに心配そうな顔をさせちゃって、なんだか申し訳ないな…。
「いまの…ううん、きっと一時的なものだよ」
「あはは…そう、だよね。ごめんね、心配かけちゃって」