「内装、素敵ですね。ちょっとレトロというか…。今度友達とも来ようかな。」
「こういう、隠れ家的な喫茶店に行かれるんですか?」
「はい。大学の友達と近況報告会などで。メニューも楽しみです!」
「そうですね。色々食べましょう。」

 顔が似ているわけでは決してないが、健人が纏う空気はオーナーのものと似ている。カウンター越しに話をして、優しい気持ちになれる。
 各々メニューを頼み終えて向かい合うと、オーナーはにっこりと微笑んだ。

「…今日は本当にお忙しい中、というか休日なのにすみません。」
「いえ。何か、大事な話があったのでしょう?」
「…あ、えっと。健人くんから、何か聞いていますか?」
「いいえ。」
「えっ…あ、あの、お二人、仲はいいですよね?」
「ええ。でも、何でもかんでも話す子じゃないですし、僕もいちいち親のような顔をしてあの子に接しませんから。ただ…。」
「はい。」