目の前の綾乃の頬がみるみる赤く染まっていく。

「綾乃…さん?」
「…ちょ…と…ちょっと待ってね。今、顔絶対赤いでしょ?」
「はい、どんどん赤くなってます。」
「…はぁ…。もう本当に、私は…多分しばらくというか、当面?もしかしたらずっとかもしれないけど…。」
「はい。」
「全部照れる。正直。…でも、それは嫌なんじゃなくて、どうしたらいいのかなって先に頭で考える癖があって、それが先行して頭の中でぐるぐるしちゃってるだけで…。」

 健人は、そっと綾乃の手を取った。

「…嫌じゃないけど、照れちゃうのは仕方ないってことですか?」
「…そういうことになります。でも、自分からスキンシップ取っていくのが…照れちゃってできないことがほとんどだと思うから…。だからこうして、健人くんがその…触れたいって思った時に触れてくれる方が…練習になっていいのかなとかも、思い、ます、はい。」
「あの…。」
「はい…。」
「スキンシップって、どういう段階というか、どれが綾乃さんにとってびっくりしにくいものですか?順番とかあるんですか?」
「順番…。」
「あの、いわゆる女性とのお付き合いというものをしたことがないし、そういう話を同年代の友達とすることもなくここまで来たので、一般論?があまりわかってなくて…。手を繋ぐとか、手を取るとか、手に触れるっていうのは、大丈夫そうですか?」
「うん、大丈夫。というか、手は私も自分から触っちゃってたもんね。逆に健人くんは?これは嫌だとかそういうの、ある?」