「へ、じゃなくて。なんか、自分の面倒なところ話したら嫌われると思ってるみたいな口ぶりだけど。」
「…思ってるよ。さすがに4歳も年下の男の子にこんな面倒なこと話すのもなと思うし、話してうわーと思われるのも嫌だけど、でも…不誠実なことが一番嫌だよ。」
「うん。私、綾乃のそういうところ、本当に好き。」
「ほんと~?ありがと~…。」
「何をどう伝えるかにもよるけど、でも今までの話を総合したら。」
「うん。」

 綾乃はテーブルに突っ伏していたが、少しだけ顔を上げた。

「きっとそれでも、…というか、だから綾乃がいいっていってくれる子だと思うよ。」
「なにそれ、直感?」
「願いも含んでる。」
「願い、かぁ。」
「ところでさ、元カレの件は私に話してくれるつもりはないわけ?」
「えぇ~だって楽しくないんだよ?」
「別に綾乃と楽しい話だけしてたいなんて言ったことないけど。」
「それはそうだけど。」
「彼に話すための練習に使っていいわよ。」
「…えぇ~…気が重い…。」
「私相手にうまく話せないことを、うまく話したいって思ってる人の前で話せるわけ?」
「…めちゃくちゃ刺すじゃん。」

 いつも容赦がないが、今日は特にそうだ。またしても突っ伏すしかない綾乃はうめき声をあげるしかなかった。

「酒飲めるところに変える?」
「…お酒はだめ。戒め期間だから。」
「あー…言ってたね。やらかしたって。」
「…お酒の力がなくても話せるよ。話すよ…。」