リエナ様がティーカップを手に取り、そっと一口紅茶を飲む。

そして、私にも紅茶を進めるように微笑まれた。

私も一口紅茶を飲み、リエナ様に向き直る。


「・・・・リエナ様、先程の光景もそうですが、リエナ様は「言葉で人を操れる」のですか?」


「そんなの聞かなくたって分かるでしょう?だって、エイリル様は私を虐めてなどいないのですから」


「っ!では何故、あんなことを・・・・!」


「エイリル様が憎くて憎くて堪らなかったからですわ。それ以外に理由などあるはずがないでしょう?それより、街で貴方と仲睦《なかむつ》まじそうにしていたフードを被った人物は誰ですの?私に教えて下さいませんか?」

「・・・・何故、その人の正体を知りたいのですか?」

「エイリル様が憎くて堪らないと言ったでしょう?少しでも利用したいからに決まってますわ」

「そう言われて、教える人間などいませんわ」

私はリエナ様と話したことはあるが、憎まれるほどのことをしたことはない。