ドキッ


背中で守ってくれるだけじゃなく、そんな風に言ってくれて……黒瀬くんが、本当に彼氏に思えちゃうよ。

とっても温かいお湯の中に、全身つかっているような。そんな気持ちいい感覚になる。

私の心が、うれしがってるんだって。すぐに分かった。



「黒瀬くん……ありがとう、私……大丈夫」

「暮石?」

「裏切られても、もう大丈夫。

だって私には……黒瀬くんが、いてくれるもん」

「!」



驚いた顔をした黒瀬くんを見て、ニコリと笑う。



「少しだけ、行って来るね」



そして花崎くんに「行こ」と言って、人気のない場所へ移動した。

そして、廊下の端っこ。

どこからも死角になる場所で、二人きりで話す。



「暮石さん、ごめん……本当に、ごめんね」

「昨日のこと、だよね? うん……いいよ」

「え……許してくれるの?」



きっと私一人だったら、許すことが出来なかったと思う。

許してあげたいって思っているのに、心では「許せない」って思ってたと思う。


だけど、もういいの。


私の隣には、黒瀬くんがいてくれるから。