ジーッと集中して、黒瀬くんの口を見る。
すると――
だ・い・じょ・う・ぶ・か
「!」
黒瀬くん、私を心配してくれてるんだ……。
コクンとうなずいて、少しだけ笑う。
すると黒瀬くんは、少しだけビックリした顔をした後。私に微笑み返し、黒板へ向き直った。
そんな私たちの事を見ていたクラスの人は、「いいなぁ」と。朝の会そっちのけで、またうっとりした顔をするのだった。
だけど――問題は昼休みに起こった。
「あの、暮石さん……」
「! 花崎くん……」
トイレから戻り、教室に入ろうとする前に。
花崎くんから声をかけられる。
顔は強張っていて、だけど申し訳なさそうな……そんな複雑な顔。
「な、なに……?」
「うん。ちょっと二人で……話せる?」
「え……」
ドクン、と。
心臓が大きく鳴った。朝、黒瀬くんと一緒にいた時のドキドキじゃない。