「はーい、席についてー」



先生の一言で、みんな自分の席に戻る。

バラバラと皆がいなくなった時。ある人を見て、思わずビクッと肩が揺れる。



「恭子ちゃん……」



教室の端で、私を見ながら怖い女子グループとヒソヒソ話をしている恭子ちゃん。

目が合ったと思ったら、もちろんプイと逸らされて……。

やっぱり昨日おこった事は、本当だったんだって、また落ち込んだ。



「(でも……凹んでばかりも、ダメだよね)」



クラスのみんなには、付き合ってるフリだってバレなかった。

じゃあ恭子ちゃんも、信じてくれたかな?



――雫ちゃんイイねの、”イイ”はね。おもちゃになってサイコーって意味だよ?



「……っ」



ふと、昨日の光景が頭をよぎる。

ゾクッと体が寒くなり、震えた。

恭子ちゃんの怖さ、一日経ったくらいじゃ、忘れられないよ……。



「どうしたの、暮石さん。調子悪い?」

「だ、大丈夫、です……」



先生に返事をした時、私を気にして振り返った黒瀬くんと目が合う。


ん? なんか口が動いてる?