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亮介からプロポーズのような提案を聞かされてから数日後。
凛は恵梨香と外へランチへ出ていた。
昼休憩は基本的に十二時から十三時までと決まっているが、秘書室を無人にはできないため、チーフである孝充と、グループ秘書のうちのひとりが一時間ずらして休憩に入るのが通例となっている。
いつしかその役割が芹那に固定されていたことに気付いていたが、新人である彼女が気を利かせているのだろうと気にも留めなかった。今考えれば、あの頃から彼らの関係は始まっていたのかもしれない。
(いつもふたりでお昼を食べに行っていたのに、嫉妬すらしなかった私も私だ……)
リュミ―エルの自社ビルは都心の一等地にあるため、周辺の飲食店もおしゃれで雰囲気のいい店舗が軒を連ねている。
できるだけ節制したい凛としては社食を利用したり、余裕がある時はお弁当などを作って持ってくるのだが、今日は恵梨香に誘われてイタリアンのお店で昼食をとることにした。
唐突な芹那の結婚報告の後、どうなっているのかと恵梨香に詰め寄られ、一週間前に別れを告げられたことと、孝充には全く未練がないことだけを簡単に伝えたが、きっと心配してくれたのだろう。