「あぁ……っん!」

すでに声は掠れ、苦しいほどに息が上がっている。

それでも亮介に触れたくて必死に腕を伸ばすと、彼は嬉しそうに凛の手を取って自身の首に回させた。

「凛、かわいい」
「亮介さん……」
「ようやく……君は本当に俺の妻になってくれるんだな」

メリットがあるからではない。好きだから、彼の妻になる。

その想いを伝えるように、ぎゅっとしがみついて耳元で囁いた。

「はい。あなたが好きだから」

言葉にするととてもシンプルで、なぜこのひと言が言えなかったのだろうと不思議にすら思う。

結婚の提案を受け入れた時にはもう彼が好きだったのに、想いが一方通行で、自分ばかりが好きなのが不安で、いつか彼に愛してもらえたらと受け身の姿勢でしかなかった。