亮介が自嘲気味に笑った。
「え? あの写真って……」
「十年疎遠じゃなかったのか」
亮介が目を細め、心なしか不機嫌そうな顔で尋ねてくる。
その表情から、メールに添付されていた写真に映っていた男性が、以前話したリップをプレゼントしてくれた相手だと確信を持っているのだと気がついた。
「どうして……」
「君が言ったんだろう。あの写真に写っているのは確かに美堂の社員で、自分の幼なじみだと」
孝充に糾弾された際、そう口にしたような気がする。
「……初恋の相手なんだろう?」
「初恋?」
亮介の苦虫を噛み潰したような表情を見て、凛はひとつの結論に至った。
(もしかして、メールの『ただならぬ仲』っていうのを疑われてる……?)
確かになにも知らない人間があの写真だけを見れば、単なる幼なじみ以上の関係に思われるかもしれない。