後悔が滲む声音で何度も謝られ、そのたびに抱きしめる腕の力が強くなる。その温かさに安堵しながら凛も亮介の背中に腕を回し、縋り付くように抱きしめ返した。

誰に疑われてもいい。だけど亮介にだけは信じてほしい。

亮介を想っているからだけではない。リュミエールは子供の頃からの憧れのブランドであり、コスメを生み出す仕事に携わっていることに誇りを持って働いている。

彼の婚約者である以前に、凛はリュミエール副社長付きの秘書なのだ。

これまで必死に作り上げてきた新ブランドのお披露目を目前に、他社へ情報を流すなんて裏切りは絶対にしない。

そう言い募る凛に、亮介は神妙な顔つきで頷いた。

「わかってる。言葉足らずで悪かった。俺は初めから凛を疑ってはいない」
「え?」

腕の力が緩められ、両手を肩に添えたまま亮介がこちらを見つめている。凛は抱擁が解かれてしまったのを寂しく感じたが、話の続きをじっと待った。