初めて慌てた孝充が芹那の発言を遮ったが、凛は愕然とした。

決してもったいぶっていたつもりはないが、思い当たる節がひとつだけある。

(そんなことまで話してたんだ。だから彼女と……)

失望などという言葉では生ぬるい。軽蔑の眼差しで孝充を見ると、彼は開き直った態度で凛を詰った。

「な、なんだよ。一年も付き合ってヤラせない女なんて変だって、僕の友人たちも口を揃えて言ってるんだ! どうして僕だけ白い目で見られないといけないんだ!」

顔を真っ赤にして叫ぶ孝充に、もはや言葉も出ない。怒りや悔しさを飛び越えて、全身から力が抜けていくような脱力感に襲われた。

セックスできない女は価値がない。だから他の女性に目移りしたって仕方がないと孝充は言っているのだ。

相変わらず勝ち誇った顔をしている芹那は、華奢な凛とは違い、女性らしい丸みのある身体つきをしている。

思わず目の前のふたりの生々しい姿を想像しそうになり、凛はぎゅっと目を瞑って小さく首を振った。