季節は春へと移りゆき、桜の花が満開となった4月初旬。

紘とエレナの結婚式が教会で執り行われた。

純白のウェディングドレスに身を包んだエレナは息を呑む程美しく、幸せそうに紘と見つめ合う姿に美紅は思わず涙ぐむ。

身内とごく親しい友人だけを招き、式の後はアットホームな雰囲気でパーティーも催された。

今日の美紅の装いは着物ではなく洋装。
申し合わせた訳ではないが、祖母も母も洋装だった。
二人とも裕福な家で育ったとはいえ一般家庭の出身。
小笠原家に嫁入りする時には、色々と悩んだらしい。

口にしなくとも、二人はエレナの心情を察し、優しく寄り添って見守る心づもりらしかった。

エレナのフランス人の母も、とても綺麗で朗らか。
美紅にも気さくに話しかけてくれる。

そしてダンディーな雰囲気のエレナの父は、なぜだかずっと伊織と楽しそうに話をしていた。

美紅の父も終始ご機嫌で、皆の笑顔が溢れる素敵な1日となった。