「なるほど。唯一無二の価値あるホテル、か…」

伊織の話に、紘は腕を組んで宙に目をやる。

「確かにアイデア勝負ですね」
「すみません、こんなご相談を。本当に情けない限りです」
「そんなことはありませんよ。ホテルを魅力あるものにしようとする考え方は、とても良いと思います。その観点で進めていけば、きっと道は拓けていくと私も思います。あとは、やはりアイデアでしょうか」

そう言ってしばらく考え込んでいた紘は、思い出したように口を開いた。

「本堂さん、その話を美紅にしてみたらいかがでしょうか?」
「は?それは、なぜでしょうか」
「あいつはああ見えて、実は小笠原の色んな事業に関わっているんですよ。私はバーやレストランを手掛けていますが、美紅のアイデアに大いに助けられていましてね。詳しくは、本人から直接聞くといいですよ。一度機会を作りましょう。本堂さん、ご都合の良い日はありますか?」
「え、あ、はい。いつでも」

そしてトントン拍子に話は進み、3日後に伊織は美紅と会うことになった。