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翌日も千桜と冴子がやってきた。
薫子が元気でいることを知り、1人では寂しいだろうと気にしてくれたのだ。

「ふたりともありがとう。また来てくれて嬉しい!」
境内でふたりの姿を認めた薫子はすぐさま駆け寄った。

「今日は薫子この好きなおまんじゅうを買ってきたのよ」
そう言う千桜の手には村では有名な和菓子の箱が持たれていた。

「いつも山菜ばかりじゃ神様にも悪いし」
冴子が続けて言う。

「ありがとう!」
このおまんじゅを食べるのも久しぶりのことだ。

薫子はすぐに本殿へ続く扉を開けていた。
「ふたりとも中へどうぞ。お茶を出すから」

「私達入っていいの?」
千桜が本殿の中を覗き込みながら聞いてくる。

薫子は笑顔で頷いた。