「か、神様?」
冴子の声が震える。

「ここは縁切りの神様の家だもの。今は神様とふたりで暮らしているの」
薫子の言葉に冴子と千桜は目を見交わせた。

神様を信じていると言っても、その存在を見たことはない。
薫子だって、生贄になって始めて切神の姿を見たのだ。

もしかしたら、ふたりは薫子の気がふれたと思っているかもしれない。
その証拠にふたりは徐々に薫子から離れて「じゃあ、また来るわね」と言うと、そそくさと石段を駆け下りていってしまったのだった。