まだ白無垢姿のままである薫子を見て切神が部屋の奥へと消えた。
そこまでは火の光が届かず、切神がなにをしているのかわからない。

だけどすぐに戻ってきた。
手には真っ白な寝間着が準備されている。

それを見た薫子はゴクリと唾を飲み込んで切神を見つめた。
切神は寝間着を薫子へ手渡すと後ろを向いてしまった。

ここで着替えろということだろう。
薫子は手渡された寝間着を広げてみた。

真っ白な浴衣は薫子の慎重にちょうどいいみたいだ。
切神がいる同じ部屋で着替えなんて。

そう思ったけれど、振り向いてもそこにあるのは本殿だ。
本殿で着替えをするのもはばかられるからやっぱりここで着替えを済ませた方が良さそうだ。

慣れない白無垢姿で数日間を過ごしたせいで、さすがに体はクタクタだ。
薫子は切神に背を向けて帯に手を回した。