「それが、金貸しがしていることが公になって、村から追放されることになったの」
「それじゃもう菊乃には寄り付かないってこと?」

「そういうこと!」
菊乃は何度も頷いて、地面に置いた山菜をまた両手で持ち上げ、それを薫子へ差し出した。

「これはその御礼の品よ。まさかこんなに力のある神様だなんて思ってなくて、びっくししちゃった」
「こんなに沢山、ありがとう」

薫子は快くおそなお物を受け取り微笑んだ。
どれもこれも菊乃の家の畑で取れたものだ。

これを見るだけで、菊乃が1人でも頑張って田畑を耕していたことがわかる。
菊乃はずっと変わってなんかいなかったんだ。

「私はこれから仕事を探すことにしたの。畑だけじゃ食べていかれないから」
「そうなんだ……」

仕事を探すとなれば、村から出る可能性も出てくる。
そうなると菊乃とはもう会えなくなってしまうのだ。