切神はそう言うと、薫子の神にカンザシを差した。
「そんなものがなくても、いくらでも縁切りしてやる。少しだけ時間をもらうけどな」

切神はそう言い終わる前にスッと姿を消していた。
「消えた!?」

菊乃が驚いて声をあげる。
ついさっきまで切神が立っていた場所には砂利が敷き詰められているばかりで人の様子はない。

切神が空中へ舞い上がったような風も吹かなかった。
「切神さまは縁切りの相手の偵察へ行ったの。相手を見極めれば縁切りをしてくれる。菊乃は信じて待っていればいいから」

薫子の言葉に菊乃は呆然としながらも頷いたのだった。