その後、当事者であるフランとマーガレットは、話し合いからはずされることになった。

 円卓の間の外に出ると、マーガレットは憔悴した様子でどこかへ消えていく。とても声をかけられる雰囲気ではなく、黙って見送ることしかできない。

 フランもひとまず王女の居室に戻ろうと足を踏みだしたが、今さらのように緊張が膝に現れて、うまく歩けずにその場にうずくまってしまった。

 足も、床についた手も、壊れた玩具のように震えている。
 いったいどちらが帝国に送られることになるのだろう。妹のマーガレットが選ばれても救われない気持ちだが、もし自分に決まったらと思うと、恐ろしくてたまらない。

 ――本当は、長女であるフランが、引き受けるべきなのだろう。

 皆も、心の中ではそう考えているかもしれない。なぜならフランは、不吉とされる「先祖返り」でもあるから。もしかしたら今回の不幸も、フラン自身が引き寄せたのかもしれないと己を責めてしまう。

(でも、やっぱり怖い……。この国を離れたくない。だって、私は……)

 幼馴染の騎士団長の顔が、脳裏に浮かんだ。