カーネリアは大きく鼻息をつきながら、フランに対し、試すような視線を向けた。

「フラン王女……だったわよね。もし陛下と繋がりがあるのなら、わたくしたちのことも口添えしていただけないかしら? 今までは頑なに拒まれておいででしたけれど、もし心境に変化があったのなら、我々もぜひお近づきになりたいわ」

 その言葉からは、うしろめたいことがないのなら協力できるはずだという含みが感じられた。
 提案に乗りたい気持ちは山々だったが、実際のところフランには皇帝との繋がりなどないし、もう二度と呼ばれることもないだろうから、へたな約束はできない。

「いえ、本当に、そういうのではなくて……」

 最後まで言い終える前に、令嬢たちの怒りが再燃してしまった。歩み寄りを拒否したと取られてしまったようだ。

「まぁ! せっかくのカーネリア様の優しさをむげにするなんて……」 
「陛下を独り占めする気ですわ、なんて図々しい!」
「追い出しましょう! どこの馬の骨ともわからない他国の女なんかに、皇妃の座を奪われてはたまりません!」

 炎上し、押し寄せる敵意は身の危険を覚えるほどだ。