重苦しい沈黙が流れた。
 皇帝はひとつため息をつくと、低い声を投げてよこす。

「……おまえは、本当に王家の人間なのか?」

 その言葉は氷の刃となって、フランの心の中心にぐさりと突き刺さった。

 細められた視線は、冷たく厳しい。この場で見限られてしまうのではないか――そう思うと冷や汗が背中を伝い、震えが止まらなくなってしまう。

(ど、どうしよう……)

 心は限界まで張り詰めて、今にも崩れそうという、そのとき。

 ――モフッ。

 おしりのあたりに違和感が生じた。このフサフサとした、柔らかなボリューム感は……。

(し、しっぽが……!)

 とある臨界点を突破し、半獣化が始まってしまったのだ。

 膨らみのあるスカートが目隠しをしてくれているが、急に増した下半身周りの圧迫感は、ふっさりとした尾が出現したことを意味している。