食器が擦れあう耳障りな音まで響き渡り、さっと血の気が引いていく。

「も、申し訳ありません……!」

 蒼白になり手元にあったナプキンで汚れを拭こうとしたが、先にメイドが素早くカップとソーサーを回収し、新しいものに取り替えて下がっていった。

(失敗してしまったわ……)

 室内の雰囲気は、完全に冷え切っている。ライズは眉ひとつ動かさなかったが、快く思われていないことは確かだ。もう呆れられてしまったかも……。

 ますます萎縮が進み、なにも考えられなくなってしまった。
 必死に取り繕い、取りやすいチョコレートをつまんだが、喉がひりついたように渇いてうまく飲み込めない。味もなにも、わからなかった。

 挙動の怪しい王女に、無言の皇帝。和やかなはずの場は、異様な空気に包まれている。
 一緒にお茶を飲むことすらこなせない自分が恥ずかしく、心を締めつけた。