拝啓、半年前の私へ。
あの日のことを後悔していますか?
全然していないと言ったら嘘になるかもしれません。
だってまだこんなにも心に住み着いているの。
まだ出ていかないの?
弱い自分はまだ彼を追い出せないままだ。
「なつ、今度はカラオケ行こ!ご飯さ、新しく出来たたこ焼き屋さんあるんよ、そこ行かん?」
時森那月菜こと、なつ、と呼ぶ佐藤愛斗の声はすぐに思い出せる。
「まな」
そう呼べば嬉しそうに私に笑顔を見せてくれて。
「なつ」
なんて特別甘ったるい声で私を呼ぶんだ。
「なつ見ろ!新作出たぞ飲み行くぞ!」
無邪気に笑うまなは天真爛漫な性格だった。
「大丈夫だって、心配すんな」
不安がっていたら1番に見つけ出してそばにいて私の背中をさすって、にたりと笑うから大丈夫だって思えたよ。
「なつ、へいき?あったくして寝ろよ」
生理痛がひどいとき、お見舞いに来てくれたり1度デートを潰しちゃった時だって面倒見てくれたりしたね。
「ちょーめんどくさいの」
他校だったから知らないまなの学校生活はどんなだったんだろう。